Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
牛の背に乗って行くのは、武蔵ではなくて、七宝寺のお通ではないか。――そのお通を乗せて牛の手綱を持って行くのが武蔵ではないか。
側にくッついてゆく城太郎の如きは、又八の眼中にはない、問題でもない。又八をして猜疑に顫かしめたものは、お通と武蔵との、睦じそうな姿だった。
今日までのどんな場合の憎悪の嫉視よりも、このせつなほど又八は、友の姿を悪魔に見たことはない。
「……アアやっぱり、思えばおれは、お人好しだったに違えねえ。あいつに唆されて関ヶ原へ出かけた時から今日に至るまで。――だが俺も、こう踏みつけられちゃあ、何日までお人好しじゃいねえぞ。野郎、今にどうするか、覚えていろよ」
「暑い暑い。こんなに汗をしぼる山道って初めてだ。ここはどこ? お師匠様」
「木曾で一番の難所、馬籠峠へかかり出したのだ」
「きのうも二つ峠を越したっけねえ」
「御坂と十曲と」
「おらあ、峠に飽々しちゃった。はやく江戸の賑やかな所へ出たいなあ。ねえお通さん」
お通は、牛の背から、
「いいえ城太さん、わたしは何日までも、こんな人のいない所を歩くのが好き」
「ちぇっ、自分は、歩かないもんだからね。