Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
――お師匠様、あそこに滝が見えるよ、滝が」
「オオ、少し休もうか。城太郎、そこらへ牛を繋いで置け」
滝の音を心あてに、細道を分け入ってゆくと、滝つぼの崖の上には、人もいない滝見小屋があり、辺りには、霧に濡れた草の花が一面に咲きみだれていた。
「……武蔵様」
お通は、立札の文字を見て、その眼を武蔵に移してほほ笑んだ。女男の滝とそれは読まれた。
大小二すじの滝が、一つ渓流へ落ちている。やさしいほうが女滝とすぐわかる。歩けば休もう休もうというくせに、城太郎は少しも落着いてはいない。滝つぼの狂瀾や、岩間にぶつかってゆく奔流の相を見ると、その水と自分のけじめが分らなくなったように、躍り跳ねて、崖の下へ駈け下りて行った。
「お通さあん、魚がいるよ」
答えないでいると、
「石で捕れるよ。石をぶつけると、腹を出して浮くぜ」
やがてまた、しばらく経つと、
「わアあい」
と、飛んでもない方角に谺が聞え、なかなか戻って来そうもない。
二
山の端から陽が映した。霧に濡れている草の花の上に、無数の小さい虹が描き出された。
滝見小屋の蔭に寄り添いながら二人は滝の音につつまれていた。
「どこまで行ってしまったんでしょう」