Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
「……ほんとに」
「嘘なら呼んで来ようか」
――飛んでもないことである。又八という名を聞いただけでも、彼女はまた、元の病人へ帰ったように、顔の血がさっと退いている程ではないか。
「いいよ、いいよ、心配しないでも、もし何かして来たら、先へ歩いている武蔵様のとこへ駈けて行って、呼んで来るから」
その又八を怖れて、いつまでもここにいれば、自分たちより何町か先へ歩いている武蔵とも、自然かけ離れてしまうことになろう。
お通は、再び牛の背に腰かけた。まだ、病後の体は決してほんとではない。ふと、今のようなことを聞いても、動悸がなかなかしずまらない。
「ね? お通さん。おいらには、ふしぎでならないよ」
ふいに城太郎はこういって、彼女の褪せた唇を、思い遣りなく、牛の前から振り仰いだ。
「――何がふしぎかっていえばさ、馬籠峠の滝つぼの上までは、お師匠さんも口をきき、お通さんも口をきき、仲よく三人づれで来たのに、あれからこっち、ちっとも口をきかないじゃないか」
お通が答えないので、彼はまた、
「どうしてなのさ、え? お通さん。――道も離れて歩くし、晩もちがった部屋に寝るし……喧嘩でもしたのかい?」