Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate

Aozora Bunko

「いいよ、お前はどうせ、お通さんが好きなんでしょ。……あたしはね、泣いて男の同情を買うような、そんな女、大っ嫌いさ」

「おいら、女のくせに、酒なんか飲むやつ、大っ嫌いだ」

「わるかったね。……お酒でも飲まなけれやいられないあたしの胸は……おまえみたいなチンチクリンには分りません――だよ」

「はやく勘定をお払いよ」

「おかねなんて、あるかとさ」

「ないのかえ」

「そこの旅籠に泊っている、京の角屋の親方さんから貰っておくれ。どうせもう売った体……」

「アラ、泣いてら」

「わるいかえ」

「だって、お通さんの泣虫を、さんざん悪くいった癖に、自分で泣くやつがあるもんか」

「あたしの涙は、あのひとの涙とは、涙がちがいますよ。――アア面倒くさい、死んでやろうか」

ふいに身を起すと、戸外の闇を目がけて駈け出したので、城太郎は、びっくりして抱き止めた。

こういう女客も、稀にはあるとみえて、居酒屋の者は笑っていたが、ふと、隅に寝ていた牢人者が、むっくり酔眼をさまして見送っていた。

六

「朱実さあん。朱実さあん。――死んじゃいけないよ」

城太郎は追いかけてゆく。

朱実は先へ走ってゆく。

暗い方へ、暗い方へと。