Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
中には、よせばいいにという顔して水を見ている者もある。役人の耳が怖いからだった。
だが、お上の怖い目や耳を掠めながら、民衆はそういう物へ触れるのを好む。わけもなくただ好むのである。
「その証拠には、ここの渡船の木戸調べでもそうだ。こう往来検めが厳しくなったのは、つい近頃のこったが、それというのも、上方からどしどし隠密が入り込んでいるからだという噂だぜ」
「そういえば、この頃、大名屋敷へよくはいる盗賊があるそうだ。――外聞に洩れては、見っともないので、はいられた大名は皆、口を拭いているらしいが」
「それも、隠密だろうぜ、いくら金の欲しい奴でも、大名屋敷などは、生命を捨ててかからなければはいれねえ所だ。ただの泥棒である筈はねえ」
渡船の客を見渡すと、これは江戸の一縮図といっていい。鋸屑を着けている材木屋、上方流れの安芸人、肩肱を突ッ張っている無法者、井戸掘りらしいひとかたまりの労働者、それとふざけている売笑婦、僧侶、虚無僧――そして武蔵のような牢人者。
船が着くと、それらの人々がぞろぞろと、流れになって、岸へ上がって行く。
「もし、御牢人」
武蔵を追いかけて来た男があった。