Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
そして彼女が、もう十歩ほど出て、南の方の坂道を降りかけたら、飛び出して、馬の尻を斬ってやろうと考えていた。
狐というものは大概――化けている象から何尺か後ろに身を置いているものだと――これも幼少からよく聞いていた俚俗の狐狸学を思い出して、伊織は固唾をのんでいたのである。
だが。
騎馬の女性は、坂の口のてまえまで来ると、ふと、駒を止めてしまい、吹いていた笛を、笛嚢に納めて、帯のあいだに手挟んだ。――そして――眉の上に当る被衣の端に手をかけて、
「……?」
何か、探すような眼をして、鞍の上から見まわしているのであった。
――おつうどのう。
またしても、どこかで同じ声が聞えた。――と思うと、馬上の佳人は、ニコと白い顔を綻ばせて、
「お。――兵庫さま」
と、小声にさけんだ。
するとやっと、南の谷から、坂道を上って来たひとりの侍の影が――伊織の眼にも分った。
――オヤッ?
伊織は、愕然とした。
何とその侍は、跛行をひいているではないか。さっき、自分が斬りつけて逃がした狐も跛行だった。察するところ、この狐めは、自分に脚を斬られて逃げた狐のほうに違いない。よくもよくもこう巧く化けて来たものと――伊織は舌を巻くと共に、ぶるぶるッと、身ぶるいを覚えて、思わず、尿を少し洩らしてしまった。