Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
――だが子供、もう近いぞ。この川の流れに沿ってしばらく行くと、左の方へ登りになる。そこの三叉道から、巨きな女男松のある方を望んでゆけ」
「また、狐に憑かれないように」
と、お通は危ぶむ。
だが、伊織は、ようやく霧のはれたような心地がして、もう大丈夫と自信を持ったらしく、
「ありがとう」
と、駈け出した。
渋谷川に沿って、少し行ったかと思うと、彼は、足をとめて、
「左だね。――左の方へ登るんだね」
と、念を押しながら、指さしていう。
「うむ」
兵庫は頷きを送って、
「暗い所があるぞ。気をつけて行けよ」
――もう返辞もしない。
伊織の影は、若葉のふかい丘道の中へ、吸われるように隠れ去った。
兵庫とお通は、まだ橋の欄に残って、何を見送るともなく見ていた。
「鋭いな、あの童は」
「賢いところがありますね」
彼女は、胸の中で、城太郎と思いくらべていた。
彼女の描いている城太郎は、今の伊織に少し背を足したぐらいなものであるが、数えてみると、今年はもう十七歳になる。
(どんなに変ったろう)
と、思う。
ひいてはまた、武蔵を恋う痛いような物思いが、胸さきへ募りかかって来たが、
(いや、ひょっとしたら、思いがけない旅先で、かえってお目にかかれようも知れぬ)