Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
と、儚い頼みに紛らわしてしまうべく、この頃は、恋の苦しみに耐えることにも馴れた心地である。
「おう急ごう。こよいは仕方がないが、この先々では、もう道ぐさはしておられぬぞ」
兵庫は、自分を誡めていう。どこか暢気な兵庫には、そういう弱点のあることを、自分でも感じているらしいのだ。
――かくてお通も、道を急いだが、心は道の辺の草にも措いて、
(あの草の花も、武蔵さまが踏んだ草ではなかろうか)
などと、連れにも語れぬ想いばかりを独り胸に描いては歩いた。
仮名がき経典
一
「オヤ、おばば、手習いか」
今、外から戻って来たお菰の十郎は、お杉ばばの部屋をのぞき込むと、呆れたようなまた感心したような――顔をした。
そこは、半瓦弥次兵衛の家。
ばばは振向いて、
「おいのう」
と答えたのみで、うるさそうにまた、筆を執り直し、何か書き物に余念がない。
お菰は、そっと側へ坐って、
「なんだ、お経文を写しているんだな」
と、呟く。
ばばが耳も傾けないので、
「もういい年よりのくせに、今から手習いなんぞして、どうするつもりだ。あの世で手習い師匠でもする気かえ」
「やかましい。写経は、無我になってせねばならぬ。