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ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
「朝日新聞」1934(昭和9)年11月~1935(昭和10)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 344,083 字 · 673 页
この男だとて多分、多くの女たちの、もてあそびものになって来た身であろう――
自分をはげますように、そんな風に思って見たが、すると、又、激しい愛慾の悩みが、白くむっちりと膨れた胸を、噛む。
――でも、わたしには、辛抱出来ない。一度、この人をわが物にすることが出来たら、他人の手には渡せない――
彼女は、雪之丞が、あまりにつつましすぎるのを、怨じがおに、
「その上に、又、わたしのようなものの、つれづれの伽までたのまれて、さぞ、心苦しゅうありましょうな」
「いいえ、御息女さま」
雪之丞の、澄んだ、しかし、ねばっこさのある声が遮った。
「何でそのようなことが、ござりましょう。わたくしのようなものが、貴いお身ちかく出ますのが、あまりに勿体のうて――」
「まあ! 何ということを!」
浪路は、媚びられて、うれしさに沸きたつ胸を、しいて、つんとして見せて、
「そなたは、どこまでも、他人行儀にして、わたしを近づけまいとするそうな」
そのとき、しずかに、小間使が、蒔絵の膳に、酒肴をのせて運んで来て、また、音もなく立ち去るのだった。
浪路は、まだ遠い二人の仲を近よせる、いい仲立を得て、