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ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
「朝日新聞」1934(昭和9)年11月~1935(昭和10)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 344,083 字 · 673 页
二一
「おッと、姐御、御馳走にはいつでもなれる。まあ、おれの話というのを聴いて貰ってからにして貰いてえ」
と、闇太郎がおさえる。
お初は、素直な口調で、
「そうですか――じゃあ、お話というのを伺いましょう? 何か、女手のいる大仕事でもありますのか? なあにね、あたしもこれまで、女だてらに、親分たちを向うにまわして、大きな口を利いていましたが、やっぱし、女ッ切れの一本立ちに、くるしいこともありますのさ――親分の方から、こうしてわざわざ来てくれたのですもの、どんなことでも、否やはいわずに、働かせていただきたいものですよ」
「そうかえ。気がさもののお初さんから、そんなやさしい言葉を聴けるとは、これまで思いがけなかったよ」
と、闇太郎はうなずいて、
「そう言ってくれりゃあ、ちょいと、口から出しにくい話でも、遠慮なく言い出せるというものだ」
「で、親分、お話とは何ですえ?」
と、じっとみつめるお初を、闇太郎は、まじろぎもせずに見返して、
「お初さん、頼みというのは外でもねえが、おまはんが現に手を出しかけていることから、一ばん綺麗に、身を退いて頂きてえのだ」
「身を退け? 手を出している仕事から?」