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ゆきのじょうへんげ

雪之丞変化

三上 於菟吉

「朝日新聞」1934(昭和9)年11月~1935(昭和10)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 344,083 字 · 673 页

青空文庫

五

雪之丞は、まざまざと、四本の刀の切ッさきが、垂れの外で、自分を目がけて、差しつけられているのを感知した。

――こやつ等、左までの心得のある者どもでは無いであろう――うしろで、糸を引く者が、わしの力を、十分に知っていて、大事に大事を取らせていると見える――

と、考えたとき、パアッと、明るみが、彼の胸を射し渡した。

――おッ! そうだ! 門倉だ! 平馬だ! あの人こそ、わしの肉を喰らいたいとまで思っている随一人だ。

雪之丞の目に、あの無月の夜の、山ノ宿田圃路の一件がうかんで来るのだった。

五

――そうか、やはり門倉平馬の細工だったのか? それで、広海屋の名を使ったのも読めた。

と、雪之丞は、胸に呟いた。

彼は、まだ、軽業お初が――あの強烈暴虐な執念の女鬼が、鉄心庵から、島抜け法印を盛りつぶして、抜け出し、ふたたび浮世に舞い戻って、怖ろしい計画を立てていることに就いては、何等の報告も受けていなかったので、表面の敵を、只、平馬一人とかぞえているのだった。

――それなら、面白い。

と、大胆不敵な、この女装の剣者は、独り言つ。

――日頃から、邪智ぶかい平馬、一度ならず後れを取ったことゆえ、今度は、多勢の手をかりて、わしをこの世から、あの世の闇に送ってしまおうとするのであろう――恐らくは、江戸で聴えた、若手の剣客が、