轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ゆきのじょうへんげ

雪之丞変化

三上 於菟吉

「朝日新聞」1934(昭和9)年11月~1935(昭和10)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 344,083 字 · 673 页

青空文庫

一八

ツと、立って、太いのべ金の長ぎせるを手にしたまま、縁側、唐櫃の側に寄る。

「さあ、蓋を払いますが、どうぞ、お目をお止めになって――」

闇太郎、そう言って、ギギと、蝶つがいをきしらせて、蓋を開けると、一足、あとにさがって、例にない、つつしんだ調子で、

「御覧じ下さいまし」

「ふうむ――」

と、三斎は、美い香の匂いが、ぷうんと立ちのぼる、函をのぞき込む。

中身は何か? それを蔽うているのは、美しい、女の着物だ。

「は、は、燻きこめた香の匂いは、ゆかしいな」

持っていた、延べのきせる――それをのべて、雁首で、蔽いを、少しかかげるようにしたと、思うと、ギョッとしたように、目をみはった、三斎隠居――

「おッ! これは!」

グッと、闇太郎を睨んで、

「闇、これは何じゃ! うなだれて、髪のみ見えて、面体はわからぬが、たしかに、死骸と見えるが――か、かようなものを何ゆえなれば! こりゃ、そのままには捨て置かぬぞ!」

「御隠居さま」

と、闇太郎のこえは沈んだ。

「御隠居さま、まず、とっくりと、お目をお止めなすって――だれの死骸だか――どなたさまの、おなきがらだか、御覧なすって下せえまし」