轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ゆきのじょうへんげ

雪之丞変化

三上 於菟吉

「朝日新聞」1934(昭和9)年11月~1935(昭和10)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 344,083 字 · 673 页

青空文庫

一九

あちらに待たせて置け」

そう命じると、三斎、掌の中の珠玉を、黄な、拭き革で、丁寧に清めて、幾重にも真綿で包み、小さな青色の箱に納め、更に、三重の桐箱に入れると、今度は、取り散らかっていた箱類を、重そうな扉を持った戸棚にしまって、錠を下ろし、灯を消して、さてやっと、起ち上るのであった。

一九

土部三斎が出て行ったのは、彼の何時もの書斎に続いた、一間だった。

床には、彼の風雅癖を思わせて、明人仇英の、豊麗な孔雀の、極彩色大幅が掛けられ、わざと花を生けない花瓶は、宋代の磁だった。既に敷かれてあった、床前の白綸子の褥に僧形の三斎は、無手と坐って、会釈も無く、閾際に遠慮深く坐った平馬と、その傍に、膝こそ揃えているが、のほほんと、目も伏せていない、町人体の未知の若者とを見較べるようにした。

平馬は、三斎の姿を見ると、礼儀正しく、畳に手をついて、

「夜陰、突然、お愕かし申し、何とも、相済まぬ儀にござりまする」

「うむ、よいよい――」

と、三斎は、頷いて物珍し気な目を連れの、闇太郎から離さずに、

「して、それなる人物は、何者じゃ?」

「平素より御隠居さま、一芸一能のある者共を、あまさず、御見知り置き遊ばしたいという、お言葉を承わり居りましたれば――」