轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ゆきのじょうへんげ

雪之丞変化

三上 於菟吉

「朝日新聞」1934(昭和9)年11月~1935(昭和10)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 344,083 字 · 673 页

青空文庫

九

彼は、紅い宝玉を、灯に透かし見つつ、自ら安んずるようにつけ足した。

――あれがあって、上さまは、わしたちのいいなりとなって下される。そこでわしと伜とも世にはばかっていられるのだ。大切な大切な、この宝玉よりも大切な娘だ。

九

三斎隠居は、蚕豆ほどの大きさから、小さいので小豆粒位の透きとおり輝く紅玉の珠玉を、一つ一つ、灯にかざしては、うこんの布で拭きみがき、それを青天鵞絨張りの、台座に篏めながら、つぶやきつづけるのだ。

――お城の馬鹿とのさまは、わしの目には、利口でなくとも、あれで、なかなかお狡いお方なのだ。どんな女や男を、愛しんでやったらよいか、ちゃあんと、御承知なのだ。つまりはな、浪路ほどの女が、この世に二人と、なかなかないことを知って、あれを手放さない――その親兄に当るわしや、伜駿河守なればこそ、出来るだけ、愛してやろうとお思いになっている――が、若し、あれが、御機嫌に背くようなことになると、あの方は、手の裏を返したように、白い目をお剥きになるに相違ない。そんなことがあったら一大事――あれが、お側にいるというので、大名、旗本、公卿、町人――総がかりで隠居隠居と、わしを持てはやし、さまざまな音物が、一日として新しく、わしの庫を充たさぬということもないのだ。