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ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
「朝日新聞」1934(昭和9)年11月~1935(昭和10)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 344,083 字 · 673 页
一八
と、言って、
「その、女泥棒の方は、心配なさるな。聴いているうちに、おれに、ちゃあんと思い当って来やしたよ」
「多分、容子をお話したら、大てい見当はつけて下さろうと思いましたが、一たい、それは、どのような女子で?」
「大方、そりゃあ、軽業お初という奴さ」
と、闇太郎は、いくらか笑って、
「なあに、なかなか気性のある女だが、思い立ったら利かねえ性で、このおれとさえ仕事を張り合うような阿魔さ。ああいうのが思い込むと、どんなことでもしかねねえよ。が、まかせて下せえ。おれが、必ず何とかするから――」
一八
闇太郎は、雪之丞の物語を聴くと、すぐに大きくうなずいて、こんな風に慰めたが、
「それにしても、太夫、物事は、ケチがつきはじめると、あとからあとからヘマが出るものだ――大望といって、あんまり大事を取っていると、どんな障げがはいるかわからぬ。お師匠がたの言葉も言葉だが、精々、思い切ったところを見せてやるのもいいと思うが――」
「いかにも、お言葉どおりでござります」
と、雪之丞も、合点して、
「せめて、ここ十日も、経ちましたら、お前さまにも、何か、お耳にひびくでござりましょう」