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ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
「朝日新聞」1934(昭和9)年11月~1935(昭和10)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 344,083 字 · 673 页
二八
闇太郎は、しつこく斬って来る若侍をあしらいながら、
「太夫、おいらにゃ、平馬は苦手だ。矜羯羅制迦――二人の方はおれがやるから、心棒は、おめえが、おっぺしょってくれ」
雪之丞は、身近くのこった最後の一人を、わずらわしげに、突き伏せて、目をあげて、平馬を、見ると、
「おお、門倉さま、おひさしぶり」
「ふうむ。死にいそぎをしたがる奴――」
と、平馬はうめいて、
「一度、二度、三度――よいほどにして置いたが、今夜、闇太郎と一緒にいたは、貴さまの不運――いかにも、息の根を止めてやるぞ」
「同門のゆかりこそあれ、うらみはないと思うていましたが、ことごとに、敵にまわる門倉さま、こちらももう辛抱ならぬ――今宵は遠慮いたしませぬぞ!」
手ごわい相手とわかっているゆえ、二人の部下も、闇太郎の方へ手を分けようとはせぬ。
真中に門倉平馬――少し先行して、二人の弟子、大刀を抜きつらねて、押し並んで迫って来る。
敵手を片づけてしまった闇太郎、匕首の血を拭い清めて、別に呼吸も切らしていない。三人を引きうけて、匕首をぐうっと引きつけてかまえた雪之丞のうしろから、
「よッ! 花村屋あ!」
と、声をかけたが、