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ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
「朝日新聞」1934(昭和9)年11月~1935(昭和10)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 344,083 字 · 673 页
二五
あのままで置きゃあ、雪之丞の、向うにまわって、どんなことでもする奴だ――女の執念は怖ろしいものだからなあ! ところでと、どんな風に始末したらいいものか?
雪之丞の前では、何とか必ず処理するとはいって見たものの、最初から、一すじ縄で行かないのはわかっていた。日ごろの気ッ風として、金に目をかける女ではなし、どんな場合でも、あとへ引くような性ではなし、結局は、何か、荒っぽいことになる外はないと思っていたのが、とうとう、その日が来てしまったのだ。
――あれだけ、このおれが頼んで見ても、いっかなうけひかねえのだから、もうこの上は、無理にこっちのいうことを肯かせるばかりだ。あんなに一心になっているのに、可哀そうな気もするが、大切な雪之丞のためにゃあ、鬼になる外はあるめえよ。
闇太郎は、一人ぐらしの気易さ、二たまわりの平ぐけを、きゅッと締め直すと、入口の戸を引き寄せて、突ッかけ草履――三の輪の方へ出かけたが、婆さんが、駄菓子をあきなって、伜はふらふらして、手あそび稼業、闇太郎と、しじゅう賭場で顔を合せる、ならずの新吉という男を訪ねた。
「儲け仕事というんなら、いくらでも乗りやすぜ――このごろ、ずッと勝負が悪くって、すっかりかじかんでいるんですから――」