轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ゆきのじょうへんげ

雪之丞変化

三上 於菟吉

「朝日新聞」1934(昭和9)年11月~1935(昭和10)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 344,083 字 · 673 页

青空文庫

一〇

いつも、わしと一緒じゃで、此家では今夜も伴れと思うている」

雪之丞は、胸が躍るような気持がした。自分の、ほんのちょいとした暗示から、百年の親友が、一朝にして仇敵と変じるのだと思うと、二人の顔を、見比べてやることの、どんなに痛快なことであるか!

「そうそうその広海屋さんが、今宵、大方、こっ家へこられたように聴いたので、来ましたが――そうか、やはりおいでなされたか――」

そんな声が、階段の方で聴えたと思うと、女房が入口に手をついて、

「日本橋河岸さまがお見えなされました」

「蛇の道だな――さすがに――」

と、広海屋が、わざとらしく笑って、

「さあ、長崎屋さん、おはいりなされ」

雪之丞も、かたちをあらためた。

一〇

長崎屋三郎兵衛は、茶無地の羽織に、細かい縞物、みじん隙のない大商人風だが、今夜の顔色は、いつに似ず、青黒く、目が吊って、表情にあからさまな不機嫌さが、漲っていた。

その長崎屋、座中の男女が、かまびすしく、喋々しく歓迎の叫びを揚げるのにも、広海屋の笑顔にも、殆んど無関心に――と、言うよりも、寧ろ煩さげに、座にはいったが、

「御酒宴中を、迷惑とは思ったが、広海屋さん――こなたから、是非、伺いたいことがあって、行先きをたずねたずね、まいりましたが――」