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ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
「朝日新聞」1934(昭和9)年11月~1935(昭和10)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 344,083 字 · 673 页
五
何処なりと、お供いたしましょうが――」
「あっしの住居は浅草田圃、ここからついじきです。そこまでひとつ、来ちゃあくださいませんか」
五
闇太郎はそういいながら、雪之丞の顔に――例の愛想笑いをあびせかけて、
「あっしは、なにしろ変人なもんだから、町家住居が大きれえで、田圃の中の一つ家におさまっていますのさ。太夫さんのような花やかな渡世をしていなさるお方にゃけえってめずらしいかもしれません。来てくださりゃあ、このあっしの、一世一代の冥加というもの、ぜひに聞き入れておくんなさい」
雪之丞は、にこりと笑いをかえして、
「わたくしもどちらかというと、稼業ににあわず静かが好みでございます、早速おともいたしましょう」
そういって、ふっと、闇太郎の顔を見詰めたが、
――このお人は泥棒だといえば居どころを他人にしられるのは都合がわるかろう。このさびしい秋の夜更けを、江戸一番の大盗賊と、たった二人で歩いてみるのも一興じゃ。
と心でいって、
「お陸尺御苦労になりましたが、これからさきは、このお方と、ぶらぶら歩いて見るつもり、御酒をいただきすぎたので、そのほうが酔がさめてよいだろうと思いますから――」