轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ゆきのじょうへんげ

雪之丞変化

三上 於菟吉

「朝日新聞」1934(昭和9)年11月~1935(昭和10)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 344,083 字 · 673 页

青空文庫

「ホラショ! ホイヨ!」

「ホラショ! ホイヨ!」

かごは、命じられた方角を指していそぎはじめた。

雪之丞の懸念は、ただ、目あての人が、夜の渡世――うまく今夜、うちにいてくれればいいということだけだ。

そのころ、もう落ちついた足どりで、さも、ほろ酔いを川風に吹かせでもしているかのように鼻うたまじりで、大川ばたを、下々に、あるいているのは、軽業のお初――

――畜生メ! お初ちゃんともあろうものが、今度はすこし味噌をつけたよ。

と、自らあざわらうように、

――どうしたわけで、あんな出来そくないの、野郎のくせに、内股にあるいているような奴に惚れたかねえ――おかげで、いのちを取られかかった。畜生! ほんとうに、いけずうずうしい奴ったらない。たしかに、土部三斎や、日本橋の大商人、長崎屋なんぞを、かたきと狙っている奴――どっちへ売り込んでも、こいつあ大した代ものだが――

と、呟いて、ぐたりと、うなだれて、火を吐くような吐息をして、

――でも、おいらには、何だかそれが出来ないんだ。あいつのあの根性と、あのすばらしい剣術――どこまで考えても不思議な奴――肘鉄砲をくわされればされるほど、殺そうとまで嫌われれば嫌われるほど、妙に心がひかされてならないんだよ。