轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
「朝日新聞」1934(昭和9)年11月~1935(昭和10)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 344,083 字 · 673 页
浪路の情緒は、唆り立てられ、煽り立てられ、沸き立たせられる――彼女の全身は、いかなる炎よりも熱く燃えて、殆んど焼け死ぬかと思われるばかりだ。
「まあ、そなたも、ほんとうに、それまでにわたしを思うていておくれでありましたか?」
笑っていいか、泣いていいかわからないもののように、白い匂わしい美女の顔は歪み、紅い唇は、熱烈な呼吸に乾いて来る。
「ほんとうにそうなら――でもわたしには、何となく、まるで夢を見つづけているような気ばかりされて――」
と、彼女が、一そう強く、手を引きしめると、雪之丞も、緊めかえして、
「夢でもござりませぬ――まぼろしでもござりませぬ――わたくしの手を、こうしてつよくつよくお握りになっておいでではござりませぬか?」
「うれしい!」
と、浪路は、歓喜に戦慄して、
「わたしはもう死んでも――」
「又しても、もったい無い――」
雪之丞は、あわただしく抑えた。
「わたくしこそ、このことが、御前さまにお気づかれ申して、この場でいのちを召されましょうと、いっかな後悔はいたしませぬ」
「のう、雪之丞どの!」
と、切なる声で、浪路は激しくささやいた。
「わたしには、もう、一刻も、そなたとはなれては、生きていられぬような気がします――わたしは、うれしい――苦しい――切ない! 雪之丞どの」