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ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
「朝日新聞」1934(昭和9)年11月~1935(昭和10)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 344,083 字 · 673 页
でも、それじゃアつまらない――生殺し、なぶり殺しにしてやらなければ――あたしだって、日ごろの恨みだから、短刀のきっ先きで、ちくりと位、やッてやりたいもの――」
「ほう、そなたがな?」
と、さすがに、平馬、びっくりした目でみつめる。
「そうじゃありませんか――男と女の仲というものは、惚れるか殺すかですよ」
「怖ろしいな」
「怖ろしゅうござんすとも――あなただって、今こそ、あたしをそんな目で見ているけれど、もし、一度何してから、途中で逃げ出そうとでもして御覧なさい。そのときには、思い当りますよ。ほ、ほ、ほ、ほ」
「いや、拙者、そなたに殺されるなら殺されても本望じゃ」
「まあ、それはそれとして、じゃあ、明日の晩、あたしが、必ず、あの人を、柳ばしの方角まで引き出します――その途中、どこか淋しいところへ張っていて、盗んで下さい。連れていく場所も見立てて置きますから――」
「そんなことが出来るかな?」
「出来ますとも――」
「では、それで話はきまった――ときに、お初どの、今宵は、更けたから、ここで、泊ってまいってくれまいか――な、お初どの」
平馬の、手が伸びて、お初の肩にふれた。