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ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
「朝日新聞」1934(昭和9)年11月~1935(昭和10)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 344,083 字 · 673 页
同心の、指揮で、駆けゆく一隊――一てえ、どけえ、いきゃあがるんだ?
彼等が、両国ばしの、中ほどまで、渡りすごしたのを見ると、サッと、天水桶をはなれて、ヒラリと飛び、夜の鳥のよう――もう、捕物隊のついうしろに引ッついてしまった。
橋を渡りつめたところで、どこからか、飛び出して来た、一人の男――目明しの子分体――
「旦那、やっぱし小梅の方角ですぜ」
「小梅たあ、一てえ、とんだはずれへ行きゃあがった――浪人ものを連れて、押し込みを働こうてえわけか――」
「さあ、あっしゃあ、まだ、どんづまりまでは突きとめていねえんで――業平ばしから先きのことは、親分や、作太が、嗅いでまわっているはずです」
「遅れちゃあ、いけねえ、いそげ!」
同心一行、先きをいそいで、うしろに目がない。闇太郎の尾行は、楽々だ。
四
軽業お初が、浪人組を引率して川向うに姿を消したという聴き込みに、検察当局にこそ、その目的が判明しなかったが、闇太郎にはあまりに明らかすぎるほど呑みこめるのだ。
それゆえこそ、彼は矢も楯もたまらない。一刻一秒を争わずにはいられぬ。
――ここまで来て、どうして雪之丞を、敵の手に渡せるか? たとえ今夜、このおれの姿がばれて召し捕られることになっても、友達だけは助け出さねばならぬ。