轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ゆきのじょうへんげ

雪之丞変化

三上 於菟吉

「朝日新聞」1934(昭和9)年11月~1935(昭和10)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 344,083 字 · 673 页

青空文庫

菊之丞は、この有様を眺めると、持っていた包を投げ出して、清左衛門を抱き起した。

顎から胸へかけて、夥しく血を流し、いまはもう、目を逆釣らせてしまった、哀れな男の顔を窺き込んで、菊之丞は涙をこぼした。

「とうとう、おやりなすったな! 無理はござりません。御尤もです。松浦屋ともいわれた方が、役人や、渡世仲間や、悪番頭の悪だくみにはめられて、代々の御身代は奪い取られ、如何に密貿易の罪をきたとはいえ、累代御恩の子分児方さえ、訪ねて来る者もない始末。天にも地にも見放されなすって、死んで仇を呪い殺そうとなさるのは、当然です。如何なる御縁かわかりませぬが壁一重隣に住んで、御懇意申すようになった、この菊之丞、日頃の御心持は、よく知っております。身分違いの河原者、しかも、世の中に名も聞えぬ、生若い身にはございますが、痩せ腕ながら菊之丞、屹度、雪太郎坊っちゃまを、お預かりいたし、必ず御無念を、このお子の手で晴らさせて御覧に入れます」

ほんに、どのような宿世であったか、その晩以来、雪太郎は、菊之丞の手に引き取られて、やさしい愛撫を受ける身となったのだ。

菊之丞は、大方、松浦屋の旦那が、草葉の蔭から、力添えをして下さるからだ、――と、時々、雪太郎だけには囁いたが、その後めきめき芸が上って、雪太郎は十二、三になる頃には、だんだん