轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
「朝日新聞」1934(昭和9)年11月~1935(昭和10)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 344,083 字 · 673 页
で、手間賃だけは貰うんだが――」
闇太郎は、又もいつもの、呑ん気な調子になって、しゃべり出した。
「俺は、理屈は一切抜きにしているのさ。早い話が、理屈で世間がどうか、なるならもう、とうに人間はみんな幸福になっているだろうと思われるんだ。日本にゃあ、神の道があるし、唐天竺にゃあ孔子、孟子、お釈迦さんもおいでなのだ。そして、何千、何万という、代々の学者が、理屈をこねつづけて、人間てもなあ、こうすべきものだ、こうありたいものだとしゃべりつづけ、書きつづけてきた、それなのに、この世の中が昔に較べて、どう違った? いつでも強いもの勝ちで、こすい奴が利得を占めて、おとなしい、正直な奴がひどい目に逢いつづけだ。俺は江戸の生れで、気短だからもう、下手談義を聞いて、じっと辛抱していろ、明日は今日より、きっとよくなる、なんていう、だまし文句にのっているわけにゃあ、いけなくなっているのさ。俺は、こんなけちな奴だから、大したことは望まねえし、又、出来もしねえと諦めている。そこで、ちょっくら、有りすぎる所から、小判を捉み出しちゃあ、無さすぎる方へ撒いて歩くのよ。それが、今の俺の仕事さ」