轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ゆきのじょうへんげ

雪之丞変化

三上 於菟吉

「朝日新聞」1934(昭和9)年11月~1935(昭和10)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 344,083 字 · 673 页

青空文庫

――おのれ、逃がしたら、それまで――雪之丞は、追いかける。

ほとんど、真の闇の、山ノ宿裏道の真夜中――人ッ子一人通るはずがないのだが、その時、思いがけなく、駆けゆくお初の行手から、二人づれの、黒い影――

「何じゃ! 夜陰に?」

と、武家言葉が、とがめるのを、お初、

「おたすけ下さいまし、いま、あとから乱暴者が――」

「なに、乱暴者?」

と、一人が、透かして見て、

「おお、なるほど――」

雪之丞、とんだ邪魔がはいったと、ハッとしたが、お初を、どうしても、このままには逃せないのだ。

――ええ、面倒な、邪魔立てしたら、どんな奴でも――

これもはじめて、懐剣の柄に手をかけて、かまわず、飛び込んでゆくと、

「おのれ、何で、人を追う?」

二人づれの武士は、立ちふさがって、

「や! これも女だな?」

「どうぞ、お通しを――あれに逃げてまいる者に、どうあっても、用のありますもの――」

すばやい、お初、もう、その時には、くらがりの中にすがたを溶けこませかけている。

「待て! 穏かならぬ――」

二人の武士は、雪之丞をさえぎりつづけた。

一三

前を閉ぐのは武家だが、雪之丞、大したことには思わない。