轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ゆきのじょうへんげ

雪之丞変化

三上 於菟吉

「朝日新聞」1934(昭和9)年11月~1935(昭和10)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 344,083 字 · 673 页

青空文庫

たまらなくなったから、小舟一ツにいのちをまかせ、荒波を乗っ切ってけえって来て、こんなところで世を忍んでいるわけなのだよ」

お初は、好奇心に充されて来た風で、

「思い出したよ、何でも、三宅島を破って帰って、島抜けの法印とか、仲間で聴えたお人がいるのだが、それっきり姿を見たものもねえ――そんな噂を何度か聴いていたっけ――じゃあ、その島抜けの法印さんというのがおまえさんだったのだね?」

「へ、へ、へ、姐御に、そういわれちゃあ、面目でもあるし、小ッぱずかしくもある。おッしゃる通りの、ケチな奴がおいらなのさ」

「そりゃ話せるねえ――では、改めてお近づきの御返杯だ」

七

島抜け法印、見かけは怖々しい大坊主であったが、して来た悪事というのも、どちらかというと、愛嬌のある方で、もし、図抜けた眼力や、ずぼらな気性なぞが手伝わなかったならば、島抜けまでするような身の上にならずとも済んでいたような人間なのだ。

況して、さして好色という方でもない、こんな連中としては、普通の部類かも知れぬ。しかし、今夜は、ひどく彼の気持はときめいている。こんな寒い晩、それも夜更けなのに、まるで、春夜の暖熱に包まれているかのような、うきうきしさを覚えている。