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ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
「朝日新聞」1934(昭和9)年11月~1935(昭和10)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 344,083 字 · 673 页
「では、もはや、おいとまいたしましょう」
と、言って、なき骸に、一礼すると、法印に、
「あなたさまには、何から何まで、お世話をかけまして――」
「ううん、何でもねえ――やっぱし、おいらも坊主のうちだったのかも知れねえよ。この女が、こんなことになって見りゃあ、最後を始末するのが、おいらの役だったのだろうよ。あ、は、は」
法印は、わざと笑った。
「なあ、雪さん、このほとけは、たしかにおいらが、あずかった。そしてな、大方、ほとけも、悪く思わねえように、何とかはからってやる。安心しな」
と、闇太郎。
「どうぞ、何分にも――」
雪之丞は、闇太郎のはからいで少しはなれたところに待っていたかごに、身をゆだねた。
――あわれなあわれな、人ではあった。
と、彼は萎れる花のようにうなだれる。
――不運な、不運な人ではあった。なぜ、敵同士のわしのことが、そんなに恋しかったのか?
が、それゆえこそ、浪路が、大奥まで捨て、父三斎に限りない苦痛をあたえたのだと思うと、今更輪廻の怖ろしさを、たのもしく思って、亡き父母の怨念に、手を合せずにはいられない。
一四
翌日、浪路の、北枕の亡骸の側に、法印を居残らせて、どこへか出て行った闇太郎、道具屋の小僧らしいのに、大きな箱のようなものを、大風呂敷で、背負わせて戻って来たが、ひろげて見ると、中から出た