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くろだじょすい

黒田如水

吉川 英治

「週刊朝日」朝日新聞社、1943(昭和18)年1月~8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 163,639 字 · 325 页

青空文庫

さるを各※(二の字点、1-2-22)には」

「だまれっ。それがおぬしの陰謀だ。わしらお家を憂うる者どもは、その陰謀に毒されまじと、おぬしの織田説には敢て、雷同いたさんのじゃ」

「しばらく、私にいわせてください」と、こんどは慇懃に、老臣の言をなだめて――「すでに殿には、神明にお誓いあって、小寺家の向背は、汝の信念にまかせんとそれがしに対しても、ご誓約を下しおかれてあるのですぞ」

「……?」

意外な、といわぬばかりな愕きを人々は眼にこめて、主人政職の方を見た。嘘かほんとか、政職は否定しなかった。官兵衛もまた政職の面にちらと眼を向けた。その眼はまるで彼を睨まえているようだった。

「時の危局を未然に察し、事にあたってうろたえなきよう、日ごろにおいて、主君に忠言を呈し、誤りあれば、面を冒しても諫言をすすめ参らすは、臣の勤めであり、わけて家老の職分と存ずる。何らやましき心はない。また陰謀をたくらむならば、かかる席で公言はいたさん。小川殿、蔵光殿、ほかの方々も、その辺はご安心あってお聞きねがわしい」

「聞けとは何をか」

「それがしの信条を」

「おぬしの説は、織田一点張りと知れきっておるではないか。