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くろだじょすい

黒田如水

吉川 英治

「週刊朝日」朝日新聞社、1943(昭和18)年1月~8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 163,639 字 · 325 页

青空文庫

髪を地に置く

一

髪を地に置く

一

弱々と見える痩身白皙の、武者らしからぬ武者振りの一将と。

年のころ十三、四。身なりに合った具足を着、丸っこい眼と笑靨を持った年少の可憐なる武者と。

――今。ここの陣門で駒を降りたのはこの二人だった。徒歩の郎党三、四名連れているので、乗り捨てた馬はすぐ供の手へ渡し、痩せたる武者が年少の武者を伴って、

「信長公にお目通りいたしたい」

と、門衛の部将を通じて申し入れ、

「自分は、病気療養のため、中国の陣よりお暇を賜わって、久しく郷里菩提山の城や南禅寺に籠って、薬餌に親しんでいた竹中重治でござる。近来健康もやや取戻したように思わるるゆえ、ふたたび中国の戦場へ罷り下る途中――ご挨拶をかねて、伊丹落城のお祝いをも述べとう存じて立寄り申してござる」

と、つけ加えた。部将が営中へ取次ぐと、氏家左京亮と湯浅甚助が出て来た。いずれも半兵衛重治とは相識の仲であるから、

「や。どうして今日これへは?」

と、その折も折なる訪れに意外な眼をみはって迎えた。そして、甚助が、

「お伴れになっておられるのは、どなたのお子か。貴所にご子息はないように承知していたが」

と、怪訝ると、重治は、