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くろだじょすい
黒田如水
吉川 英治
「週刊朝日」朝日新聞社、1943(昭和18)年1月~8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 163,639 字 · 325 页
二
二
「もう来る。かならず来る頃だ。来ぬはずは断じてない、きっと来る」
城将が集まって、この危急に対する軍議をひらくとき、主将の荒木村重がいうことばは、極まってこれであった。信念というよりは、烈しい昂奮をもって、それをいうのだった。
「――すでに、この春には、大挙して、毛利家の水軍が、舳艫相啣んで来援にまいると、正しく我へ誓紙を入れて約束していることだ。軍備の都合上、遅れたにちがいないが、条約を反古にし、せっかく起ったわれらを、見ごろしにする理由はない。飽くまでわしは毛利を信じて、その援助の大軍が、一日も早く、西ノ宮の海辺へ上陸して来るのを待つ覚悟だ。――それまでの籠城だ、各※(二の字点、1-2-22)も頑張ってくれい」
村重のこの言には、戦いの初めから励まされて来た部下であった。実に、去年の暮も、この春も、また夏になるまでも。
しかるに、すでに半年以上も経つが、毛利輝元以下、吉川、小早川の大軍が、兵船をつらねて来るというその第二戦線は、いっこう何処にも実現されない。
城将の多くは、ようやく、毛利家の誠意をうたがい始めた。そして主人の村重に対して、面と向って口にこそ出さないが、