轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
くろだじょすい
黒田如水
吉川 英治
「週刊朝日」朝日新聞社、1943(昭和18)年1月~8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 163,639 字 · 325 页
虱と藤の花
一
ちがいない――と、這般の機微と大勢を早くも観破したからである。
虱と藤の花
一
「……面壁、面壁、またきょうも面壁。いったい幾日この闇をにらめていたら陽が仰げるか」
官兵衛は独りそう思う。
きょうも朝はどこかで明けていた。
いや、すでに年も、天正六年はとうに去っている。ことしは天正七年のはずだと考えるが、その春すら来ているのか否か疑わしい。
「陽の目を見ない人間というものは弱いものだ。陽に浴しているときはさして思わぬが、……はてさて、禅も、覚悟も、陽を仰いでおればこそ。かくなっては」
ひとり苦笑するのである。
指折れば去年の十月以来、半歳というものは、こんな独想と同じ闇との中に、生ける屍のごとく過ごして来た。そのあいだに、日頃の何が役立っていたろう。
まず、健康な体だったが、これも近頃では自信がない。いちどの湯浴みも水拭きもしたことなく、皮膚は垢とこの冬中の寒気で松かさみたいになっている。やや暖かになって来たと思うと、体じゅう得体の知れない腫物ができてきた。頭の毛髪の根にまでぶつぶつしたものがふき出している。
食物といっては、正に獄人に食わせるようなものを、朝夕二度、頑丈な荒格子の窓から番卒が給与してくれるものだけである。