轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

くろだじょすい

黒田如水

吉川 英治

「週刊朝日」朝日新聞社、1943(昭和18)年1月~8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 163,639 字 · 325 页

青空文庫

三

――とまで、三軍に仰がれていた重治だった。病躯は重い鎧にも耐えぬほど弱々しかったが、官兵衛孝高とともに、秀吉の双璧といわれ、智略の嚢と恃まれていた彼でもあった。

「そうかなあ。――あれでまだお齢は、わずか三十六歳でしかなかったのかなあ」

と三軍、士卒の端にいたるまでが、その夭折を、惜しまぬはなかったという。

三

十二月に入ると、摂津方面の戦況は、急転直下を示した。いうまでもなく織田軍の優勢が、荒木一類を悉く掃蕩し終ったのである。まだ、伊丹を支えていた頃、

(村重を説いて、尼ヶ崎、花隈を開城させ申さん)

と織田軍に約して城を出た荒木の老臣たちは、村重が肯かないために、味方の内にも停まれず、織田軍にも投じかねて、ついに何処かへ逃亡してしまった。

その後、伊丹が落ちると、

(ここも危うし)

と見て、村重は、尼ヶ崎へ移った。そしていよいよ、敵の急追迫るや、ふたたび密かに城を脱して、兵庫の浜から船で海上へ逃げ、毛利家の水軍に投じて、援けを乞うた。

世人は嗤った。

(毛利の援助と誓約を信じて、信長に叛いた村重ではないか。伊丹、尼ヶ崎、花隈の三城が攻め潰されても、まだ援けにも来ぬほど不信義な国を恃んで、まだ目も醒めずそこへ庇護してくれと逃げ込んで行くとは――。