轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

くろだじょすい

黒田如水

吉川 英治

「週刊朝日」朝日新聞社、1943(昭和18)年1月~8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 163,639 字 · 325 页

青空文庫

彼女はそれを見つつ居すくんだままでいた。そして難なく舟のうえへ突き落され、部将らしい武者の前へ押し上げられた。

「西の丸仕えか。北の丸仕えか」

きびしい眼で訊ねられた。彼女はのがれ得ない覚悟をきめた。

「室殿のお側に仕えている者でございます」

すると、部将の手は、さも憎そうに、彼女の腕くびを引っ掴んで、

「よしっ、歩け」

と、命じた。

ほかの兵が一方の手を組んだ。彼女は具足と具足のあいだに挟まれて、足の地につかないように引き立てられた。

部将は権藤亥十郎という物頭だった。武器庫の牢を番している内外の者はみなこの男の配下にあった。職責上、一婦人の行動といえど、彼は当然重大視した。

お菊をひっ立てて本丸へ来た。しかし城主の荒木村重はこよいも西の丸の方でご酒宴らしいと侍たちのことばだった。亥十郎はすぐその方へ足を向け更えながら舌打ちしていた。

「どうも、室殿というのもよくない。ああいう女性にお心をおゆるしあるなど、以てのほかだ」

西の丸の庭さきへ廻り、侍臣を通じて、村重に面謁を求めた。侍臣が、用向きをたずねたが、亥十郎は、

「殿、直々でなければ、申しあげかねる」