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くろだじょすい

黒田如水

吉川 英治

「週刊朝日」朝日新聞社、1943(昭和18)年1月~8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 163,639 字 · 325 页

青空文庫

です。けれど、一族以外の将士に、降人扱いの辱を加えらるるにおいては、彼等とても生きてかいなく思いましょうし、われらの切腹も意義をなしません。城中の者どもを、ただにご助命あるのみならず、それらの点をも、武門の情けと礼を以て、ご処置くださるなれば、お申し入れに伏しましょう」

「その辺の斟酌には、ずいぶんご寛大な筑前守様ではあるが、この官兵衛もきっとお計い申しておく」

それから官兵衛は他の一族の者や老臣たちとも会見した。すでに肚と肚で語り合っていた後藤基国や小森与三左衛門などもその中には交じっていることなので、談し合は極めて円滑にすすんだ。

しかしその日以後、重ねて、三、四回にわたる会合が行われたのは、相互二年間という長日月の攻防を繰返し、言語に絶した苦戦と苦戦を頑張り合って来た敵味方の帰結としては、まず当然といっていいほどの折衝であった。

二

解決は、年をこえた。そして、城主別所小三郎以下の切腹と開城とは、愈、正月十七日と決定した。

その前日、秀吉は、酒の樽三荷と、多くの食物とを、城中へ寄贈した。

小三郎はよろこんで、翌朝、使者を以て、こう礼をつたえて来た。