轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

くろだじょすい

黒田如水

吉川 英治

「週刊朝日」朝日新聞社、1943(昭和18)年1月~8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 163,639 字 · 325 页

青空文庫

(いまは花鳥風月を詠んでいるときではないでしょう。お祖父さまのような境界のお方はべつですが、あなたはこれからいよいよ烈しい風雲のなかに立ってゆかねばならない弱冠ではありませんか。よくよくいまの時勢を天に訊いてごらんなさい)

と意見されたときから、すぱと歌道を断念して、それからは猛烈に、禅と兵学に心魂をうちこんだということである。

そうした官兵衛なので、もう二十二歳前後には近郷の沢蔵坊という賊魁を討ったり、佐用郡の真島一族を討伐したり、ともあれ姫山の総領が、家の子をひきいて出かければ、必ず勝って帰るという信用を町の人々にも持たれるようになっていた。

黒田という丘の一家を、こうして年々強大にして行ったものは、金の力でも何でもなく、実はこの家を敵としてしきりに反抗し続けた近郷の土豪や強賊だったのである。

(黒田とは、いったい、どんな人物か)

と、御着の城主小寺政職は、あるとき狩猟にことよせてこの丘へ立ち寄った。それが縁となって黒田宗円は以後、小寺家の被官として仕え、やがてまた、その子官兵衛が、父に代って、家老の要職を継ぐようになったのであった。

ほかの譜代にくらべ、年月こそまだ短いが、黒田父子が被官となってからは、小寺家の領内には土匪の横行もまったく歇み、失地は敵の手から回復し、領民はその徳政によく服していた。