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ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
「朝日新聞」1934(昭和9)年11月~1935(昭和10)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 344,083 字 · 673 页
一七
「闇、久しぶりであったな!」
「へえ、お久しぶりでごぜえます。お変りもなくってと申し上げてえが、何だか、どこかおからだがいけねえそうで――実は、ちょいとそのことを伺ったもんですから、夜分ながら出向きやした。お目にかからせていただいて、ありがとう存じます」
「ふん、それについて、何か見舞の品を持って来てくれたそうだが、大分大ぶりな荷物だの?」
と、浪路が失踪してから、絶えざる不安懊悩におびえつづけていながらも、いつもの好奇癖で、闇太郎が、何か売り込みものを持って来たと取ると、すぐに、もう内容が見たくてたまらない三斎だった。
「へえ、ちと、かさばっておりますが、まあ、御覧下すったら、ずい分およろこびだろうと思いますんで――」
と、闇太郎が言う。
三斎が、側の若ざむらいたちに、
「これ、荷物を開けろ」
と、言いつけると、闇太郎が、
「いけねえよ、それに手をかけちゃあ、大事な品ものだ。あッしが自分で蓋を払いますが、御隠居、人ばらいをお願い申してえんで――」
「ナニ、人払い?」
と、三斎は、いぶかしげな目つきをした。
「なにか秘密の品か?」
「まあ、そんなもので――」
三斎の顎がうごくと、若ざむらいや小姓たちは、退いた。