轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ゆきのじょうへんげ

雪之丞変化

三上 於菟吉

「朝日新聞」1934(昭和9)年11月~1935(昭和10)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 344,083 字 · 673 页

青空文庫

あの小さな宿場町の、裏町の棟割長屋の一軒を――一軒といったって、たった二間の汚ねえ汚ねえ家だったが、それでも小屋の親分から、別離に貰った二分か三分の銭があったので、そこを借りることは出来たのさ。だが、弁公の看病から、薬代、その日その日の暮しの稼ぎまで、おれ一人で稼がなければならなかったので、直きに、いいようのねえ、みじめなことになってしまった。しかし、何しろ、町が町、猫の額のようなところだ。おれたちのようなごろつきを喰わせるような仕事があるわけはねえ。貧乏な、御家人風情ではあっても、兎に角両刀を差したあがりのおれが、水ッ涕をすすりながら、町内のお情で生きている夜番の爺と一緒に、拍子木をたたいたり、定使いをする始末だ。それもいいが、その内に、弁公の奴は、だんだん身体が弱る、傷から毒がはいる。いや、もう、浅間しい姿になって、あの野郎、強情を張って、唸りをたてめえ、音をあげめえとするのだが、噛みしめた歯の間から洩れる呻きが、長屋中に聞える程になって、今まで、時々は外の稼ぎの出来たおれも、始終そばについていてやらなければ、どうにもならなくなってしまった。