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ゆきのじょうへんげ

雪之丞変化

三上 於菟吉

「朝日新聞」1934(昭和9)年11月~1935(昭和10)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 344,083 字 · 673 页

青空文庫

四

四

――ふうむ、先きの奴をまぜて、一人、二人、三人、四人、付いたな。気息の使い方で見ると、一通り、武芸の心得もある奴らしいが――

雪之丞は、とにかく、何かしら、陥し穴のようなものに、落ち込んでしまったと、ハッキリ思い知った上は、気を強めて、難場を切り抜けるだけの心支度をする外はないのだった。

――いつもいつも、一松斎先生や、孤軒先生から伺っていた通り、敵を知り、おのれを知らねば、闘争に勝つことは出来ぬ。まず以って直接に自分にまつわっている人々が、どこまでの用意をして置くかを調べて、それによって、背後の立て物を見抜くが第一――

四人も、ここまで出張っていて、なお、手を出さず、ひそまり返って、乗物の進むにまかせているので、想察すれば、このかごの行く先きにこそ、この人達をあやつり使っている大物が、待っているとしか思われなかった。

――やはり、三斎隠居であろうか? 浪路どのの失踪が、わしの細工と見て取って、糾明するつもりでもあるのであろうか? どうも、そうは思われぬが――隠居は、わしをまだまだ信じ切ッている。不思議な、非理なわけだが、わしほどの芸を持ったものに、女を奪って隠すような、いやしい私心は無いものと信じ切っている。