轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
「朝日新聞」1934(昭和9)年11月~1935(昭和10)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 344,083 字 · 673 页
一〇
「おお、待ちかねていましたぞ、さあ、おはいり――」
いくらか錆のある、芸人独特の響きを含んだ声が答えた。
雪之丞は、部屋にはいる。
師匠菊之丞は、厚い紫地の友禅の座布団に坐って、どてら姿だったが、いつもながら、行儀よく、キチンとした態度で、弟子を迎える。
部屋の中には、何処となく、練香の匂いが漂って、手まわりの用をたす、十三、四の子役が、雪之丞が坐ったとき、燭台の、芯をなおした。
「何か妙なものに出会ったと聴いたが、そなたのこと故、別に気にもせず、帰りを待っていましたぞ」
と、菊之丞は、微笑した。
彼は、この愛弟子の不思議な、手練をよく知っているのだ。
「は、ちょいと、光り物がしましただけで――」
と、雪之丞も、微笑を返した。
一〇
それから、師匠菊之丞は、脇田一松斎の機嫌は、どうであったか――などと訊ねながら、自分で愛弟子のために、茶などいれてくれるのだった。
雪之丞は、行く道で、孤軒老師に邂逅した一条や、脇田道場での門倉平馬との経緯や、匿すべき相手でないので、一切を告げ知らせるのであった。
「ほほう、それで、そなたの前に、きらめいたという光り物のわけも、大方解ったようだ」