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ゆきのじょうへんげ

雪之丞変化

三上 於菟吉

「朝日新聞」1934(昭和9)年11月~1935(昭和10)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 344,083 字 · 673 页

青空文庫

「かよわき女性とは、あの折の女子のことでござりますか? あの者は、あり来たりの女ではありませぬ。底には底があることで――が、お言いわけは致しますまい――あれが、気に入らなんだと思召しなら、どうぞ、御歴々御一統にて、この雪之丞を御随意に――何分、朝の早い渡世をいたします身、あまり手間ひま取ってはおられませぬゆえ――」

雪之丞は、助次郎の二の腕を、ぐっと、指をまわして、掴み緊めて置いて、突きはなす。

掴まれた腕が、痺れたか、つきはなされて助次郎、あわてて、よろよろと身を退いた。

「御成敗となら、早うお手をお下しなされませ――但し、雪之丞、生き物でござりますゆえ、お手向いはいたしますぞ」

「それ、おのおの!」

平馬が、並居る仲間を、顎で縁側から追い下ろすようにした。

九

平馬に駆り集められて、面白半分、雪之丞折檻の役割を、買って来た剣術使いたち、

「かやつ、御存分に――」

と、主人に唆かされて、いずれも、大刀を引き寄せると、足袋はだしで、庭上に飛び下りた。

一人、二人、三人――五人の同勢だ。

その連中の先頭に立った間柄助次郎、いつぞやの恨みもあり、今また速まって不覚をとった不面目をそそごうとあせる。