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ゆきのじょうへんげ

雪之丞変化

三上 於菟吉

「朝日新聞」1934(昭和9)年11月~1935(昭和10)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 344,083 字 · 673 页

青空文庫

、もはやこの世においであそばさぬことを思いますると、つい、泣けてまいりまして――」

「なんと、雪之丞、しからば、その方、浪路めの不幸をも存じておるとな!」

と、三斎、屹ッとする。

「それを知らずに何といたしましょう――あまりの恐れ多さに、おぼし召しには背きましたなれど――あれまで、お情をたまわりましたお方のことでござりますもの――」

雪之丞は、もはや、三斎の視線を恐れずに答えた。

三

雪之丞は、言葉をつづける。

「それにいたしましても、御息女さまをはじめ、浜川、横山おふた方、広海屋、長崎屋のお二人――引きつづいての御最期は、何ということでござりましょう。わたくしには、因縁ごとのように思われまして、空怖ろしゅうてなりませぬ」

三斎は、フッと、何か気がついたように眉をひそめた。

「ふん、浪路のことは別として、世に秘められた、浜川、横山の非業の最期、さては、このわしへさえ、たったさっき、知らせがあったばかりの、広海屋、長崎屋の不思議な死に様――それを、そなたは何ゆえに知ったぞ?」

と、いかつい目つきになったも無理はない。

雪之丞は、容をあらためた。もはや、彼の目に涙は無かった。