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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 页
「ア、おじさんたちはおいらをどうするんだい!」
「いやおこるな、竹童。こっちのいうことだけ聞いて逃げられぬ用心。そうしていても耳はきこえようからよく聞けよ。御旗楯無の宝物は、ここにいる轟又八に京へ持たせて、いまはぶりも金まわりもよい羽柴秀吉に金子千貫で売りとばした。それゆえ、いまの持主は秀吉、この山寨には置いてない。さ、このうえは果心先生からおさずけの秘法をうけたまわろう」
「たしかにわかりました。では先生の秘法をおさずけもうします。そもそも層雲くずれの大難は、どんな名将でものがれることのできぬものでござりますが、その難をさけるには、まず夜の酉から亥のあいだに、四里四方けがれのない平野へでて、ふだんの護り神をおがみ、壇をきずいて霊峰の水をささげます。――次に、おのれの生年月日をしたためて、人形の紙をみ神光で焼くこと七たび、かくして、十方満天の星をいのりますれば、兇難たちどころに吉兆をあらわして、どんな大敵に遭いましょうとも、けっしておくれをとるということがありません」
呂宋兵衛は、怪力もあり幻術にも長じているが、異邦人の血のまじっている証拠には、戦いというものに対して、すこぶる考えがちがう。