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しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 页

青空文庫

三

三

「ア痛、アイタタタッ……」

跛をひきながら、草むらよりころげだしたのは竹童である。地上二、三十尺のところまできて、ふいに鷲の嘴からはなされたのだ。

これが尋常の者なら、悩乱悶絶はむろんのこと、地に着かぬうちに死んでいるべきだが、山気をうけた一種の奇童、三歳児のときから果心居士にそだてられて、初歩の幻術や浮体の秘法ぐらいは、多少心得ている竹童なればこそ、五体の骨をくだかなかった。

「オオ痛い。クロの野郎め、おいらがあんなにかあいがってやるのに、よくも恩人をこんな目にあわせやがッたな、アア痛、痛、痛、畜生畜生、どうするか覚えていろ!」

腰骨をさすりながら、ふと後ろをふりかえって見ると、なんとにくいやつ、すぐじぶんのそばに、すました顔で、翼をやすめているではないか。

「けッ、癪にさわる!」

竹童はいきなり帯の棒切れをひッこ抜き、クロをねらってピュッと打ってかかる。と、鷲も猛鳥の本性をあらわして、ギャッとばかり、竹童の頭から一つかみと爪をさかだってきた。

「こいつめッ、生意気においらにむかってくる気だな」

とかんしゃくすじを立てた勢いで、ブーンと棒を横なぐりにはらいとばすと、こはいかに、鷲の片足が、ムンズとのびて竹童の胸をつかみ、