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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 页
三
だが、床下のやみは、しいんとしていた。
三
おどろいたのは蛾次郎だった。
梟のように目をまるくして、ソーッと、また一、二間ちかづいて、よくよくその影を見さだめていると、あんにたがわず、それは鞍馬の竹童である。
いつぞや、加茂の堤で蚕婆の吹き針にふかれてその目をつぶされ、いまは黒白もわかたぬ不自由な身となった。
町をあるけば人につまずき、森をあるけば木の根にたおされるしまつ。クロの行方を知るよしもないので、瀬戸物のかけらに御洗水の清水をすくってきて、この床下へ身をひそめ、ただ一念にいのり、一念に目を洗っているのだった。
「ふウん……やっぱり、竹童にちがいない」
蛾次郎は犬つくばいにようすをながめて、
「へんなところで、でッ会したな。目がわるいようすだから、一つ、からかッてやろうかしら」
手にさわった土塊をつかんで、竹童のかげへ、バラッと投げつけた。
「だれだッ」
さなきだに、盲になってからは、神経のとがり立っている鞍馬の竹童、こういって、からだをねじむけてきたのである。
蛾次郎は、おもわずズルズルとあとへさがった。
だが、目がわるい、ここまではきやしまいと、たかをくくってまた、