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しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 页

青空文庫

虚空に飛んだ栴檀刀

一

のおわりを告げた。

兵法大講会第二日目。

大衆はみなこの二日目に、多大な期待をかけていた。

最初の日は、あんがい、儀式作法の、目にきらびやかな番組ばかりが多く、龍攘虎搏ともいうべき予期していた火のでるような試合がなかったので。

果然――前の日よりもすさまじい群衆の怒濤が、御岳の頂上へ矢来押しにつめかけた。

武田伊那丸や民部をはじめ、あの一党のひとびと、また鞍馬の竹童も、その熱風のようなふんいきのなかにくるまされて、きょうはジッとかたずをのみ合っている。

清浄な砂をしきつめて塵もとめない試合場の中央に、とみれば、黒皮の陣羽織をつけた魁偉な男と、菖蒲いろの陣羽織をきた一名の若者とが、西と東のたまり場からしずしずと歩みだしている。

ぼウーと陣貝がなった。

とうとうたる太鼓、三段に打ちひびいたとき、れいの三色の母衣武者が、

「築城試合、築城試合」

要所の控え所へ伝令する。

黒革の陣羽織、これなん、もと柴田家の浪人上部八風斎こと、あだ名はれいの鼻かけ卜斎でとおる人物。

菖蒲色の若者をたれかと見れば、越後上杉家の家来、天鼓流の築城家村上賛之丞。

ふたりは床几についてむかいあった。