轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 页

青空文庫

二

これ、だれかおらぬか、船頭は!」

と、破れんばかり戸をたたいたが、なかにもれる灯影があるのに、いっこうこたえがないので、加賀見忍剣、禅杖をかかえて附近の波うちぎわを見まわしていると、三井寺のふもとから、おくればせに馳けてきた伊那丸と龍太郎も、はるかに見た竹童の危急をあんじて、

「忍剣、船はあったか」と、そこへくるなり声をいそがした。

「ふしぎなこと、……この渡船場に、一そうもそれが見あたりませぬ」

「まだ宵なのに、矢走(矢橋または八馳)へかよう船がないはずはない。そのへんの小屋に、船頭がいるであろう」

「さ、それをただいま、呼んでいるところでございますが」

「船頭もおらぬのか。――さては、さきに逃げた呂宋兵衛やその手下どもが、このあたりの船を狩り集めて、琵琶湖を渡ったものとみえる。アーふびんなことをいたした。いかに竹童でも、あの高い空から落ちて、はや日も暮れてしまったことゆえ、さだめし水におぼれたであろう……なんとか、助けてやる工夫はないものか」

主従三人、愁然と手をつかねて湖水の闇を見つめていると、瀬田川の川上、――はるか彼方の唐橋の上から、炬火をつらねた一列の人数が、まッしぐらにそこへいそいできた。