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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 页
二
「音がしますよ、妙な音が?」と、息をのんだ。
ふたりははうようにかがみこんだ、間道の蓋へ耳をあててみた。いかにも妙な物音がする。ダッダッダッと地の底を打つような音――ゴゴゴゴゴという騒音――それがだんだんに近づいてくる。
「味方がくるんだ!」
竹童は信じることばに力をこめた。
「頂上に裏切り者がでたのを知って、外城の者が一挙にやってくるんです。そうにちがいない」
「じゃ、なおのこと、早くここを開いておいて、篝火をつけておこうね」
「いや、篝火は待ってみたほうがいいでしょう。どこにどんな裏切り者が鳴りをしずめているかも知れず、そいつらが、他の柵や木戸の出丸をやぶって、いっせいにさわぎだすと、いよいよ手におえなくなってしまいます」
とささやいていると、不意に、間道の下から、ドン、ドン、ドン! とはげしく槍の石突きでつきあげる者がある。
「味方か?」
と竹童が床へ口をつけて呼ぶと、なにやらガヤガヤさわぐのがかすかに聞える。といっても、分厚な蓋がへだてているのでその意味はわからないが、なにせよ、人間の声がうずまいているのは想像される。
「味方かッ?」
「おう!」
「外城の者かッ?」