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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 页
五
「一番!」
と絶叫された。
すると、すぐに審判の床几にいた鐘巻一火の口から、
「巽小文治どの、遠駆け一番」
とあきらかな軍配があがった。
「ちーイッ」
と口をゆがめて歯ぎしりをしたまま、早足の燕作は、腰を立てる気力もなく、なにかわけのわからないことを叫びつづけた。
小文治一番――と聞いて色めき立ったのは、かれの朋友たちで、
「それ、このうえは、約束のとおり一火どのから咲耶子を申しうけよう」
と、忍剣をはじめ龍太郎に蔦之助や竹童などが、審判の床几にいる鐘巻一火のところへかけ集まってくると、いちじ色をうしなった徳川家のほうからも、大久保石見守、菊池半助、鼻かけ卜斎、和田呂宋兵衛。そのほかおびただしい人数が、ドッと流れだしてきて、
「検証の一火どの、軍配がちがうぞ」
と抗議をもちこんだ。
一火は公平なたいどで、
「なんで拙者の検証がちがうといわれるか」
色をなして突ッ立った。
されば石見守は一火の左の手につかんでいる矢を指して、
「それはだれが持ちかえった矢であるか」
「これは小文治どの。またこちらは燕作の持ってきた矢であるが、それがどうかしたといわれるので」
「ちがう。