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しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 页

青空文庫

二

「あの、砦の留守番役を仰せつかって、みなさまの帰らないうちに、あんなことになったもんですから……」

「もうそのことはいうな。おわびはわれわれからすんでおる。しかし、きさまどうしてこんなところにボンヤリと立っていたのだ」

「明日はいよいよ御岳の大講会、その前日には月ノ宮の森で、みなさまが落ち合うことになっているおやくそくだったそうですから、それで待ちどおしくッて、さっきからここに立っていたんです」

「ふム、きょうのやくそくをぞんじておるならば、龍太郎、小文治のふたりと一しょになっていたのか」

「はい、おふたりは先について、森の垢離堂でお待ちです」

「そうか。ではすぐにそこへまいろうではないか」

と、伊那丸が藺笠の前をさしうつ向けてさきに立つ。

それにつづいて、忍剣、民部、蔦之助の三人が久しぶりで邂逅した竹童をなかに、みなが弟のごとく取りかこんで、親しげな話をかわしながら、月ノ宮の境内ふかくしずしずとあゆみ去ってゆく。

あとには、ホウ、ホウ、と山鳩の啼くのがさびしげに……

そして、ひとりぼッち、あとに取りのこされた巡礼のお時は、孤寂なかげをションボリたたずませて、去る者のうしろ姿をのびあがりながら、